実習が怖い看護学生さんへ〜大丈夫だよ〜
看護学生にとって、臨床実習は本当に過酷な試練ですよね。
春から実習が始まるから不安だって言う学生さんもたくさんいるだろうなと自分を振り返って考えてしまいます。
実習って、とにかく根性論って感じですよね。
看護師の世界は昔から体育会系なんですよ。
ハァ〜〜〜〜若者の皆さんすみません(-_-)
それが常識になってる人たちには、今の若者にそんな昭和な指導が合ってない事に全然気づいてないんです。本当にねぇ。
ぽよママは、学生指導者を何度か経験しています。
今でこそ学生さんに教える立場ですが、私自身の学生時代はそりゃもうひどいもの。
一番覚えている「やらかし」は、癌患者さんの顔に水銀血圧計を当ててしまい、学生を外されたこと。その実習の指導教諭は学校イチ怖い先生でした。ビビりまくって怒られに行きましたが、学生時代に一番大切な学びを得られました。
この時の学びは、その後の看護師人生の根っこになりました。
ありがとう怖い先生、、、
(→この時の学びについては、別記事にを書いておく事にします。)
こうして今看護師が出来るのも、たくさんの恐怖体験のたまものなのですd( ̄  ̄)あはは
しかし、恐怖体験したい人はいませんし、出来るなら楽しみながら前向きに学んで欲しい。
それに看護感って凄くぽや〜〜〜んってしててわかりにくくないですか?
実際、看護ってこれが正解です!って言えない部分がたくさんあるんです。
だからこそ、その人その人が真剣に学んで、患者さんのために出来ることをしないといけない。
実習していた当時の私は、いつもよく分からない状態でやっていました。
なぜ、こんなに情報を取らないとダメなんだろ??
なぜ、関連図が必要なんだろう?
アセスメントってどうやれば良いんだろう?
恥ずかしながら、分からないまま、見よう見まね状態で、この実習の単位を取る事に集中していただけでした。
その頃に教えて欲しかった仕組みを大まかな説明ですがお伝えしていきます。
今困っている学生さんに届け!
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学生が実習でやるべき事とやり方について
①患者さんの全体像をザクッと掴め
始め、実習担当の患者さんが決まれば、ある程度必要な情報を大まかに取る必要があります。
絶対に抑えるべきは
・年齢や性別
・疾患名
・メインの治療は何をしているか
・家族背景はどうか
・活動レベルや認知レベルはどうかなどです。
実際に私たち看護師が入院を受ける際などに始めに取る情報が今あげたような項目になります。
例えば、80才男性、大腸癌、化学療法目的入院、既往歴〇〇、キーパーソン妻、ADL車椅子歩行、認知力年齢相応など、
ザッと聞いただけで、どんな人かわかる内容をまず掴みます。
ポイントは、どんな人?に加えて、どんな目的で入院した人を把握する事。
看護師ですから、人を見るだけではダメです。
その人の病気も見る必要があります。
なので、ザックリで良いので大腸癌ってどんな病気?
一般的な治療は?
って所を押さえておきましょう。
初めは浅く広く捉えることに集中し、細かな疑問は置いておきましょう。
②患者さんの疾患と治療と経過をザクッと掴め
①で大腸癌がどんな病気かはだいたい把握出来ているので、今度は患者さんの紹介状などがカルテにあるので、そこから、なぜこの病院に来たか、それまでどんな経過だったかなど、掴みます。
この段階で、
・大腸癌の一般的な症状や進行段階について学習する。また治療についても大まかに調べる。
(手術をする、化学療法をする、放射線治療をするなど)
・患者さんの症状はどんなものが今あるのか?(看護記録から把握)
・症状に対してどのような対処がされているのか?
(看護記録などから把握、対応されていない場合はなぜなのか?)
・薬は何を使っているのか?(医師記録や指示欄から確認)
↓
これらを元にして、患者さんの現時点での病状をなんとなく理解し、その上で、今までの経過を診療情報などから確認する。
例えば、H○年に便潜血を指摘され、○月に大腸カメラされる。
その際に生検実施され大腸癌の診断を受ける。H△年に消化器外科で大腸切除術を受け、人工肛門増設され退院となる。H×年に下血認め精査にて肺転移疑いのため再入院。精査後化学療法目的にて入院となる。
など、患者さん個人個人によってストーリーがあります。
こうした経緯を知ることによって、手術をがんぱって来られて、人工肛門を作っても高齢ながらなんとか生活されていたんだなぁ。とか
きっと大変だったろうなぁ。
今はきっとこんな気持ちじゃないのかなぁ。
と患者さんの立場に寄り添うことができます。
この疾患や治療の学習をすっ飛ばしては、患者さんの気持ちに寄り添うことは難しいのです。
病気や治療を解った上で、患者さんの不安やつらさに寄り添うことが看護師の大切な役割になると私は思っています。
③患者さんがどんな気持ちで病気と向き合っておられるかザクッと掴め
①②で情報を得た知識を元にして、今患者さんがどのような心境か伺っていく。
この時に、患者さんから思いを傾聴する必要があります。
でも、初めはコミュニケーションが難しいんです。
だから、自分が全て聞かなくてもいいと私は思います。
例えば看護記録をよく読めば、患者さんのS)情報として、たくさんの思いが記載されていることもあります。
自分で聞く際は、インタビューにならないように気をつけてほしいです。
病気で辛い状況の人にインタビューは負担になります。
あくまで、患者さんが話したいタイミングで話したい量だけ聞くのです。
そのためには、自分と話していて心地いい、気持ちが楽になると思ってもらえるように振る舞うことも大切です。
学生さんにとっては、患者さんに合わせて演じる事はとても難しいと思うので、
正直、学生さんはそのままで良いと私は思います。
上手く話さないとと思わずに、演じようと思わずに、自分のまま、誠意と配慮と尊敬を忘れず持って関われば話してくれます。
患者さんも誰かの役に立つことが喜びになるのです。
「学生さんが自分の言葉で学んでくれた。」って言う大きな喜びです。
大袈裟かもしれませんが、それが生きる希望にもつながっていく人もいるのです。
これは看護師にはできない、学生さんができるケアの一つなんです。
コミュニケーションが苦手。上手く話せないし、、
って思っている学生さんがいたら、是非そのままで、飾らずに関わってみてと言ってあげたいです。
④掴んだ情報から問題になりそうな事を洗い出せ(アセスメント)
①〜③までで、情報収集は出来上がってきます。
それを、ヘンダーソンなどの提唱した分類に分けて細かくアセスメントしていきます。
得た情報から、アセスメントする。は難しいようで以外と簡単です。
例えば、
大腸癌の例を続けると、
心理的側面についてのアセスメントとしては
S)こんなに年取ってるのに、抗がん剤なんてやって大丈夫なんかな
家内も年やから寝たきりになったら困るわ
O)ベッドサイドに家族写真を置いておられる。毎日妻の訪問があり笑顔みられる。
A)年齢により体力の衰えを感じておられる様子。妻も高齢にて、自身の介護に対して負担をかけていると言う思いが強い。家族を大切に考えておられ、妻と話すことで穏やかに過ごせている。家族、主に妻に対し、抗がん剤使用後の自身の身体的な衰えから介護負担を増やしてしまうのではと言う不安があると思われる。
などとし、この場合は問題点として 「抗がん剤による身体的な影響に対する不安」
などが出てきます。
このように、心理面だけでなく、呼吸はどうか清潔はどうか、排泄はどうか、など細分化してアセスメントしていきます。
また、これらを表にしたものが関連図となります。
関連図を書くポイントとしては、アセスメントから問題点を出したが、それが本当に心理面からアプローチするのみの解決策でいいかを精査するために必要な作業となります。
例えば、
抗がん剤使用
年齢
介護者が主に高齢の妻
ADLは車椅子程度
家族を大切にされている
など様々なキーワードが絡み合って 「抗がん剤に対する不安」に至る訳ですが、
もしかしたら、この薬が影響して精神的に抑うつ状態になりやすのではないか?
もしかしたら、この症状で不眠になっていることから不安感につながっているのではないか?
など、こっちからも言えるよね、ここも関係しているよね
ってことが見える化されていきます。
ケースバイケースすぎて上手く言えないのですが、少しでもヒントになればと思います。
伝われ〜〜〜〜〜〜
⑤問題点(看護問題)に対して必要な看護計画を考えろ
④で問題点が、アセスメントの中からたくさん出てくると思います。
それらに優先順位をつけていき、ケアをしていきます。
例えば手術後の患者さんであれば、術後合併症の予防や早期発見が最重要な問題となるでしょう。
退院間近な患者さんにとっては、退院後の生活に適応できないリスクがあればそれが一番重要と考えます。
問題に対し全て関わることはできないので、一番問題と思われることについて関わっていきましょう。それがわからない場合は、看護記録を読んで、1番始めに問題点として上がっている看護問題が答えですので、それを参考にしましょう。
看護計画については、観察項目から指導までありますよね。
例えば、「化学療法による副作用」を問題点として上げたとして、
一般的な副作用の出現時期や、それぞれのケア方法、観察項目を教科書から引っ張ってきます。
⑥ケアに個別性をいれて実施しろ
⑤で「一般的な」の部分を学習したら、「この人にとって」を足していきます。
感染症リスクを考えるとして、この患者さんは高齢で自力で歩ける状態の方ではなく、化学療法後は点滴をずっとしているので、全身清拭が必要だなとか、陰部洗浄もいるな、とかあがってくるのです。
そして、この方の場合は、人工肛門を造っているため、普通の人より気を遣って清拭をしなければならないなどの方法を具体的に考えていきます。
これは、指導者と話し合ってヒントをもらってやっていくといいと思います。
⑦退院後の指導を入れる事ができたら100点です!
また、退院間近の患者さんの場合は、退院後にも困らないような指導ができたり、再入院を防ぐような方法を検討できればとてもいいと思います。
大腸癌の上記の例の場合、高齢のご本人がやっていた人工肛門の管理を奥さんもできるように入院中に一緒に看護師がしているところを見る機会を作ったり、わからないところを紙面でお伝えしたり、薬の管理方法について一緒に考えたり。または、化学療法の副作用予防のための指導を紙面でしたり。。
この様な丁寧な関わりは、病棟の看護師ができないケアの一つです。
これも学生さんの力だと思っています。
学生さんが中心になり、病棟看護師や指導者、患者や家族と相談しながら退院後の生活にも配慮できるケアが一つでもできたら最高ですよ本当に。
自分だけでなく、患者や家族にとって忘れられない学生さんになると思います。
是非そんな誰かの役に立つ成功体験をしてほしいものです。
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この流れは看護師の頭の使い方の基本なので実習でモノにしたいスキルです。
看護師になったら①〜④までは脳内でする事になるので、学生のうちにゆっくりじっくり取り組みましょう。
うまく出来なくても良い。
やると言う過程に意味があるんですよね〜。
これマジです。
誰のためでもなく自分のための実習の機会。
お金を貰う立場では、こんなスピード感で立ち止まりながらやれませんから。
是非ゆっくりじっくり取り組んでみて下さい。
かく言うぽよママもまだまだです。
看護師は本当に日々勉強です。
でも、それだけにやり甲斐や喜びも得られる素敵な仕事ですよ^_^
いつかどこかで一緒に働けたら、おばちゃんナースに優しくしてくださいね。笑
では!