透析看護 メリットとデメリット 向いている人って?〜その2 デメリット編〜
前回のメリット編も是非ご覧下さい。
透析看護師が語る透析看護の4つのデメリット
①患者さんとのやりとりにストレスが多い
そうです。透析患者さんと言えば、言わずと知れたひと癖あると言われる患者さん。
私も、何度泣かされたかわかりません。
例えば、穿刺に失敗した際に怒られる。
正しいと思ったことを指導しても、受け入れられず怒られる。
特に男性患者さんでは、セクハラやパワハラ的な言動を何度経験したかわかりません。
私のコミュニケーションスキルに大きな問題があり、改善することで大きなぶつかりはなく過ごせるようになりました。
透析患者さんは、10年来もしくは30年などの強者も多く、看護師を特別な知識を持った人としてはみてくれません。
むしろ、長年の透析経験から、あらゆる医療者と関わり、裏切りや失敗されたと感じることも多く経験され、医療者に対し疑心暗鬼になっている方も多くおられます。
また、死ぬまでやり続ける苦痛や人の世話になっている状況を受け入れることが出来ずに攻撃的になってしまう人もおられました。
そのような方は、一見するとクレーマー患者となり、看護師にとってやりにくい患者だとみて取れるのです。
しかし、背景を知り、その方のことを1歩退いて見ることで、売られた喧嘩を買うではなく、落ち着いて対応でき、自分を見つめる機会になったとも言えます。
一見、デメリットとも言えるクレーマー対応も、自分のコミュニケーションスキルを高めてくれる機会ととられる事ができれば、あまり辛くなりすぎないかもしれません。
と言っても、このプロセスは割としんどいものですし、自分を変える作業は本当に時間がかかるものです。
お手軽に関わる方法は?と聞かれたら、、
私から言えるのは、相手を全て否定しない。違うと思うことを言っても「そう思うんですね」など否定しない。その人にとって安心して何でも言える存在になります。相手に話してもらう事を大切にすること。
一方で、相手に深入りしないことも重要です。やってしまいがちですが、焦って相手の役に立ちたいと思いすぎると、お互いのためにならないのです。相手のペースで関わることが大切と言うことです。
また、手技に不安を感じさせない。もしくは、患者さんから指導してもらうように関わる。透析で使用するシャントは人によって様々です。
失敗されないように患者さんは必死です。相手を不安にさせないように、ゆったりと自信を持って関わることが大切です。
それが難しい場合は、誠実に教えてもらいたいと言う立ち位置で関わると、多少失敗しても許していただけます。
また、毎日(正確には隔日ペース)顔を合わせる患者さんとトラブルがあると、なかなか解消できなくなってしまいます。
そのため、トラブルを引きづらない様に、相手を避けずに早めに関わりを再開することも大切です。
このように、一見デメリットと感じられる患者さんとのやり取りも、自分を見つめ直す機会と捉えて頑張っていけるか。
それがポイントになってくると思われます。
②スタッフ間の人間関係が難しい
透析室はだだっ広い部屋にベッドがたくさん並んでいる状態です。
そこで、やっていることや話していることはスタッフ同士丸見えの状態です。
それ故、お局ナースに見張られやすい。
これは結構プレッシャーです。
私自身は、そこまで見張られると感じてはいませんでしたが、若いスタッフ、目をつけられてるスタッフはネチネチ言われていました。
広い空間では、何から何まで見えるので、お互いを評価しやすい環境にあります。
また、穿刺や回収時以外はゆっくりできる無駄な時間があり、それも良くない。
暇な人は他人が気になるものです。
さらに、病棟と比べ、異動などがない場合は、スタッフが固定されているため長く作られてきた人間関係に入って行くにはある程度覚悟がいるでしょう。
うまく立ち回る必要はありませんが、嫌われたり苦手意識を持ってしまうと苦しい状況になってしまいます。
特に、病棟経験が長く、中堅といわれる看護師は変なプライドがあり、透析室だけでやってきたスタッフを見下してしまうことがよくあります。自分のそういう感情って、隠してもばれてますから。人間関係をうまく築けるわけないんです。
それって、過去の私なんですけどね。。
変なプライドは邪魔でしかありません。
捨てましょう。
謙虚に勤めると、必ず悪い方向にはいきません。
是非、透析室だけではなく、今後転職を考えている方は、心に留めておいて下さい。
偉そうに言っていますが、私自身も気をつけたいと思っていることです。
③業務内容がルーティン化しているため、新たな学びや成長を感じにくい
透析室での業務は、いつも同じなんです。
それをどう深めて行くか。
個人個人の努力でやるしかありません。しかしながら、勉強しなくても良い環境なのです。
そのような環境でも、自分はきっちり意識を高く保ってやっていけると思う方は、素晴らしい!
私は、無理でした。
日々ダラダラと業務をこなし、はい終わり。
時々、勉強をしましたが、知識を使う場所がなく、身にならない。
周囲も同じようなスタッフがほとんどで、流されてしまう状況です。
その時、私はまだ30代。このままでは、、と思いました。
私が透析看護を辞めた最大の理由はこれです。
私のように、まだまだ働き盛りの30代にある看護師にとっては、自分の将来を狭めてしまう可能性があるのです。
しかし、キャリアを求めない。もしくは、透析看護にやりがいを見いだせる、仕事は仕事として割り切っている。
このような仕事に対する価値観をお持ちの方もたくさんおられると思います。
また、多くを経験し、学ぶ段階をある程度終えた方など。
そのような人にとっては大きな問題にはならないでしょう。
④穿刺が大きなストレスになる場合もある
透析室で働くにあたり、ほとんど避けて通れないこと。
それは、穿刺です。
基本シャントに針を2本刺すのですが、これが毎回成功するとは限らないのです。
また、失敗した時のリカバリーの仕方。
これがまた難しい。
回路が凝固しないようにしければならないし、シャントを痛めてもいけません。
さらに、確実に止血する必要もあります。
このように、失敗したときの反動が、普通の留置針を入れることと比べて、全然違うのです。
失敗すると苦手意識が積み重なり、患者さんに責められることもあります。
これらにより穿刺自体を怖いと感じてしまう事もよくあります。
新人は特にこの状況に陥りやすいです。
しかし、静脈とは違い、シャントは人工的に血流を増やしている血管でもあるので、発達している場合がほとんどです。
針も太いですが、私の感覚としては、難易度は細い脱水の高齢者の抹消を取るよりも簡単です。
難しい血管ももちろんありますが、そこはベテランになってからチャレンジして行けば良い。
極端に採血などの手技が苦手と思っている人にとっては向かないと思いますが、多くの人にとってそこまでのストレスにはならない。
むしろ、楽しんでいる人もいます。
シャントは学んでいくと奥深くて面白味がありますよ。
次回、メリット、デメリット踏まえた上で、透析看護に向いている人をぽよママが分析したいと思います。